an alley cat
「じゃ、あたし先帰る!また夜にメールするからよろしく!」






放課後、真っ先に教室を飛び出して行ったのは千夏ちゃん。




「?」

首を傾げている私に、


「彼氏できたんだって、聞いた?今日はデートなんだってさ~」

と、華夜ちゃんが言った。


「彼氏、か・・・千夏にもようやく春が・・・」

安奈ちゃんはしみじみと、語るように頷いている。



「デート・・・」

私はその“デート”という、華夜ちゃんが言った言葉を再度口にしてみた。



「何~?ののはデートしたことないの?」

華夜ちゃんは悪戯っぽく言ったけれど・・・。



―ありません。



「ののは可愛いから、羨ましいよ」

ふいに安奈ちゃんが小さな声で言った。


「・・・?」


妙に深刻そうな表情に、私はまた首を傾げる。


「あ、今のは気にしないでいい」

安奈ちゃんはそう言って笑ったけど、なんか心配・・・。





「さっ、そろそろ帰りますかぁ」

華夜ちゃんが椅子から立ち上がり、続いて安奈ちゃんも立ち上がる。


「あ」

私は椅子に座ったまま。


「のの?」

既に歩き出していた2人は、座ったままの私を見、不思議そうに首を傾げる。




「私、先生に大事な書類とか受け取りに来いって言われてて、それから日直・・・?」


「はー?先生どうかしてる!まだ転校して間もないのに日直やらせるか!?」

華夜ちゃんは眉間に皺を寄せている。


「だから、先に帰ってもらっていいよ」



そう言って、私は席を立った。


「じゃあHAPPY CLOVERで待ってるから、終わったら来て!」

「うん、それがいい」



華夜ちゃんと安奈ちゃんは何度も頷き、手を振って教室を出て行った。





「職員室・・・どこだっけ」




私は、1人そう呟いていた。

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