an alley cat
-kayo-








「良かったのか?」







「何が?」



私はコップにジュースを注ぎながら答える。


「何が・・・ってののだよ」



「大丈夫だって!なんせ冬真がついてんじゃ~ん!」


あたしはジュースを注いだコップを安奈に手渡す。


「そう、か・・・誤解されてないといいな」


安奈は小さく笑ってジュースを一口飲んだ。


「・・・うん、“置いていかれた”とか思われちゃったらちょっと・・・」


あたしはブルーシートの上に座り、楽しそうに騒いでいるみんなを見回した。




「それにしても遅いな・・・肝心の“主役”が来なけりゃ意味ないのに」


安奈は飲み終えたコップをテーブルに置くと、携帯を開いて時間を確認する。





「おーいっ!ののはまだ?」


両手に大きな袋を持って坂を上ってきたのは千夏。


「千夏!おっそいよーののが来ちゃうじゃん!みんなぁっ用意するよ~!」


あたしはみんなに声をかけると、千夏から袋を預かった。



「うぃ~!」

「これどこ置けばいいの?」

「ゴミ袋用意しといて」

「俺の酒は~?」

「馬鹿、去年先生に見つかってだめになったでしょ!?」

「ちゃんとやんなさいよ!」





「ったく・・・うち等のクラスは騒がしいな」

「まぁでもいいじゃん」


あたしは呆れた顔でため息をつく安奈を見、夜風に舞う桜の花びらを一枚手に取った。




「準備オッケー!」


千夏が大きな声で言い、みんなも指で合図する。




「よぉしっ!」


あたしは気合を入れて、星空に向かって大きく拳を上げた。




「来た来たっ!」

小さく見えた2人の影に、千夏は楽しそうに笑った。



「みんな“いっせーの”だからね!」


「了解」

「分かってるよ」

「しくんなよー?」

「うっせぇな」










「「「「いっせーのっ!!」」」」」」



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