みにくい獣の子


マジになって話聞くんじゃなかった。…裏切られた。


彼のペット?を押し付けられた私は、玄関に座り込んだ。


「結局どーすればいいのよ…」


今日は、この前とうって変わって大人しい狼の頭を撫でる。私をじっと見つめて、瞬きを繰り返した。…よく見ると、この狼すごく綺麗なんだ。祐くんに可愛がってもらってんじゃん。


「田中さん呼ぼうか…。あの人ならどうすればいいか分かるよね」


ぐふ、

左手に生暖かい湿った感触がした。狼が鼻を押し付けて舌を出していた


「な、舐めた」

ふ、

狼は私に怯えることも脅かすこともなく、私の傍に座っていた。毛皮が暖かい。別に危害を加える様子もないし、ことを急ぐ必要はないのかもしれない。

大きな身体に手を添わせれば、滑らかな毛並みがゆっくり波打った



「…田中さん寝てるかもしれないし、明日でいい、か」

わふ、

狼は毛が長めの尻尾を大きくゆっくり振って、その場に伏せた。頭を撫でると、目を瞑った。








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吉と出るか、凶と出るか








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