みにくい獣の子
撫でる
「や、ムリムリ、絶対見ないで!」
「…だめ?」
「だって…っ気持ち悪いし!」
夕方、空がオレンジに染まり始めた時間に私はそわそわし始めた。
あと数時間もしないで辺りは暗くなる。
リクの姿が変わるまで、あと少し。
リクの話を信じていないわけではないが、非科学的な現象をこの目で確かめておきたいと思うことは仕方ないことだ。
みにくい獣の子
第16話
「誰にも見せたことないの?」
「うーん、家族と…祐は見てっけど…」
「私はダメ?」
「だってー…絶対気持ち悪い…」
リクはぐずぐずと不満を漏らし挙げ句、目を袖で拭った。急にぼろぼろっと涙が溢れた
泣い…!
「ご、ごめん、ごめん!もう見たいとか言わないからっ」
泣かすつもりは無かったのに、リクの涙はぽろぽろと彼の服を濡らす。
どうしよう、ていうか、そんなに嫌だったのか…っ!
おろおろする私を見て、リクが我に返ったようにハッとする
「わーっ、何で俺泣いてんのー!」
「ふ、不安定ってこういう感じなんだ…?」
とりあえず彼の背中を撫でて宥める。リクは涙を拭って深く息を吐いた。
やばい、可哀想なことをしてしまった。そんなつもりではなかったのに…