小さな恋物語
クリスマスの夜は…
今年もきっと君は来ない…
僕だけがずっと待っている。
いつになったら君は僕を迎えにきてくれるの?
+゜*+゜
あるクリスマスの夜。
君はここで座っていた。
僕も家からぬけだして街を歩いているところだった。
たくさんの人がみんな2人以上で歩いている中で、君と僕は1人だった。
「ねぇ、君も1人なの?」
思い切って問いかける。
君はこっちに顔をむけ、
「うん。」
嬉しかった。
孤独は僕だけだと思ってた。
2人隣に座る。
「君はいつも1人なの?」
聞かれた僕は1つコクンと頷いた。
「じゃあ、来年の今日ここで会おうね。」
君は小指を僕に向ける。
「約束は破っちゃダメなんだからね。」
君は指切りをした後に、僕の唇と心を奪ってどこかへかけていった。
+゜*+゜
もぅ、あの日から15年。
俺は毎年ずっとここで待っている。
約束を守っているのは俺。
君が来ない事は分かっているのに、やめられない。
今年で俺は20になった。
君に会ったのは5歳の時。
俺は大学も卒業して親の会社をついだ社会人。
灰色のスーツに包まれてるけど、きっちりしてるのは服だけ。たくさんのイルミネー ションで彩られた街を歩く。
あ……
やっぱりいない。
俺はあの場所へ座ってタバコをとりだす。
やっぱりもう来ないのかな?
彼氏とかできてるだろうな。
タバコの先から出ていく煙は地上とは違って静かな闇へと溶けていく。
「君はいつも1人なの?」
「うん……」
え…!?
俺の上で声がする。
「待った…?」
待った、待ったよ。
あの時と同じ笑顔で俺の顔を見る。
15年たった今でも、毎日君の事を思っていたよ。
やっと君は目の前にいる。
俺が触れられる距離にいる。
あの時と何も変わってない。
俺の気持ちも君の笑顔もあの時のまま…
そろそろ俺と一緒に行きましょうか。
(完)