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「えっ…?」

芍薬はここにきたときに護身術として偃月刀の扱い方も慣らされていたらしい。

「でも… ここにこのコがあるってことは…」

その言葉に反応するように階段から声が聞こえてきた。




「残念やわ…… 芍薬」




少し年増の女の人が階段を下りてきて、姿を現した。

「ゆ、百合…姐さん…」

少し引き気味で後退する芍薬を余所目に亜一と絃竜は顔を見合わせた。

「百合ってまさか…」

「あんたがなにしようとウチには関係あらへん。でもな、その紅蛍(こ)を持つってことはウチの敵になるってことや」

そういうと芍薬を睨み付けた。

さらに百合はこう続ける。

「あんたをここまで育ててきたん誰やおもてんの? 恩を仇で返すなんて… 芍薬、そんなことしたら絶対許さへんで?」

少し脅しかけた言い草をされた芍薬は気押されて視線をそらした。



「…あたしは、もう、この…いえ、これから生きていくうえに必要のない"花魁"という地位を捨てます。
今までこの"花魁"という肩書きがあたしを生かしていたのかもしれません。
でもその"花魁"は開き直り全て諦めて、手に入れた地位…
こんどはただ引かれた"道"を歩くんじゃなくて、自分で一歩一歩"道"を踏みしめていきたいんです…!!」
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