via


そういうと立てかけていた偃月刀《紅蛍》を手に取り、構えた。

亜一たちはなにも言わず、少し離れて様子をみることにした。

「あんたも覚悟はできたようね… きなさい芍薬!!」

芍薬は百合めがけて一目散に走り、飛び込んだ。

「はぁああ!」

「甘いわね、スキだらけよ…。 血を浴びなさい、《花姫》」

高く上げた芍薬の偃月刀を軽く紙一重で避け、偃月刀の柄で腹部を強打した。

「っ痛ぅ…」

その場に片ひざを立ててしゃがみこんだ。

「まだまだぁ!」

すると片足を深く踏み込んだ状態で偃月刀を構えた。




「舞え、火鳥の如く!!」




それは鳥が飛ぶが如く、一閃を飛ばした。

しかし百合は息を切らすことなく、澄ました顔で

「踊れ、歌姫の如く!!」

百合はその一閃を一筋縄で見切り、右にサイドステップを踏み込み一撃。

さらに空いた足を回転させ、芍薬の足をなぎ払い体制を崩して蹴り飛ばした。

百合が放った技は芍薬の技を跳ね返すだけでなく、さらに反撃を仕掛けた。

「どうや、芍薬? あんたに偃月刀の使い方おしえたのウチやで? 勝てるわけあらせんやないの」

「まだ…まだ…」

たった2回の攻撃でかなりやられた様子。

百合の腕とは相当なものなのか。

「芍薬さん!!」

見ていられなくなったのか、よほど心配になりとっさにかけよろうとする亜一。

「こないで!!」

(芍薬さん…)

その言葉に負けて足を動かすのをやめる。絃竜も肩をたたき首を振っている。

「もうやめにせえへんか…? あんたの負けやで芍薬。」

やはり同業者としての情けか、戦いをやめようといわんばかり。

芍薬はうつむいて、答えようとはしなかった。

「黙っててもわかりゃしませんえ? それともとどめを…」

「百合姐さん、やっぱり"あの癖"は直ってないんですね」

なにかヒントをつかんだ目を据えたようにみえる。

「本来姐さんの姫乱舞は連撃のはず…。
いつも最初とその後のステップが甘いせいで、連撃が打ち込めない… そうじゃないんですか?」

< 17 / 17 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:3

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop