私こそ光る☆君~グランプリ編~


私の焦りなどまるで関係というように、曲が流れ出した。


これはアレですか?

歌えってことですか?

もっと一生懸命歌えってことですか!?



曲がかかってしまった以上、歌わないわけにはいかない。



『き「みを見るたび、胸が弾むよ」


歌おうとした声に由依ではない声が重なって……。


「「「「キャーー!!」」」」


観客の歓喜の声がどこか遠くに聞こえる。


呆ける私に歌えと目で訴えてきた。


『「どこにいても、何をしても、君を忘れるなんて無理みたい」』


また、別の声が重なる。

イタズラな笑みが今はとても頼もしい。


『「焦らさないで、僕の気持ちなんて、とっくにバレてるだろう?」』


ふわっと合わさった目はとても穏やかで、あんなにざわついてきた心が落ち着きを取り戻す。


『「知らぬふりなんてやめて、一緒にときめこうよ」』


向けられた笑顔に、作ったものでなく自然にこぼれた笑みを返す。


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