私こそ光る☆君~グランプリ編~
「光?」
『うん?』
名前を呼ばれて振り向いた。
紫水だ。
そういえばあの日以来、メンバーの誰かとちゃんと話をするのって初めてかも……?
合流した時にも二、三言葉を交わしたものの、その内容は挨拶程度に止まっていたのだ。
「ちょっとこっちへおいで」
何だろう?
身構えつつも、紫水の手招きに従って近づく。
「そう、そこで止まって」
静止するように指示された場所は、メンバーの皆からほぼ等間隔に距離を取った位置だった。
「……紐」
非常に判りにくい説明だけど、どうやら清龍は紐を引けと言っているらしい。
見れば右手側に紐がぶら下がっている。
薬玉(くすだま)か……。
みんな忙しかったのに、グランプリ取れるかどうかもわからなかったのに。
それでも私のために作ってくれたのか。
そう思うとすごく嬉しくて、涙が出そうになるのを我慢しながら、薬玉の紐を引っ張った。