Iの漂流戦士
その様子からして先程の正義とのやりとりを見ていたようだった
『お前、兄さんを裏切る気か?』
高木功は一馬を睨み付けた
『裏切る?まさか。そんな事するはずないでしょ』
淡々と喋る一馬に、高木功の怒りは増すばかり
『じゃぁ、なんであの人にあんな事を言った?』
『………』
『兄さんが住んでいた場所、ナノハちゃんの中学。そんな事をしたらあの人は余計兄さん達を…』
そんな高木功の言葉を待たず、一馬は言った
『それの何が悪いんですか?』
----ーーーその瞬間、
バコッと鈍い音が辺りに響いた
『ふざけるな!!そんな事をしたら兄さん達は消えてしまうかもしれないんだぞ!!お前それが分かって……』
『………分かっていないのは功さんですよ』
高木功に殴られた反動で、一馬の口からは血が出ていた
でもそれを気にする事はせず今度は一馬が高木功を睨み付ける
誰も居ないオフィス通りで、二人は異様な雰囲気に包まれていた
『………功さんはなんとも思わないんですか?』
そんな中、一馬の声のトーンが変わった
『何が?』
まだ怒りの収まらない高木功は冷たく突き返す
一馬は真剣な顔つきで、ゆっくりと言った
『修さん達がいまだに過去に縛られてる事』