あのころ、グラフィティ
上履きにガムなんて毎度のこと。弁当がなくなったり、教科書がなくなったり、上から植木鉢が落ちてきたり、寿司に大量のわさびが入ってたときも。
悪いときで、靴に画鋲が入ってて踏んだときもあったなぁ。

でも一番困ったのが、携帯のアドレスがばらまかれたこと。

あれには正直、まいった。





でもここまでされて、冷静なオレも黙ってるわけがない。

最近じゃ、仕返しをするようになった。


これでも大きな進歩だ。



別にあの仲がよかったころに戻りたいわけじゃないけど、あのころは2人でよく笑ってたりしてたなぁと思うと懐かしくなる。

あのころはゆさじが分け隔てなく、みんな同じに接してくれてたから、福もオレに嫉妬なんかしなかったんだろう。

アイツはああ見えて、けっこう傷つきやすいヤツだとは知ってる。


だからなおさら、オレばかり誉められるのは気にくわないんだろうな。




「貫くーん!!」

女の子の声が何人かがハモってオレを呼ぶ。

オレはその子たちに、手を振った。
生徒会役員のため、無視はできないのだ。

ほんとはこんなガラじゃないのに...



オレは体育館を出た。


そのとき、
「ねぇ、ふっくん知らね?」

< 47 / 77 >

この作品をシェア

pagetop