あのころ、グラフィティ

あれから、家に帰る貫の後を着いていった。


『小渕書店』に入っていって、大学の参考書を手に持ち、中身を読み始めた。


、、なんだ。
気になってんじゃねーか。


大学行きたいのに、無理してオヤジの寿司屋を継ぐなんて...


貫の考えてることがわかんないなぁ、、




家に帰っていつものように、オヤジの握った寿司を食う。


馴染みの客でもある、『八百花』のおじさんと...今日は桜ねぇもいる。


「へぇ~。それじゃ、『カンプク』も出店すんの!?」


桜ねぇが口をもごもごしながら言った。


「ああ。出てみないかって。...最近景気もよくないからな、ここらへんで『カンプク』の味をみんなに知ってもらって、客をバンバン増やそうかと。」


なんの話しをしてるのかと言うと、年に一回、町のみんなだけで味わうことのできる商店街の行事が行われる。それがこの『店自慢!ここが一番!商店街祭り』である。

商店街のみんなが、この町の大広場に品物を並べ、自慢するというもの。まぁ、お祭りの露店みたいのようなもんだ。
その後は、恒例の町音頭を踊るんだけど...

まさか、オヤジが参加するとは...
いつもは「俺の寿司屋は見せ物じゃねぇ!」とか、言ってたのに。

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