CAPTORS
「おいっ、俺の声が聞こえるか?おいっ」

「……ぅ」

希螺のそばでその顔をのぞきこみながら呼びかけ続けるレフィに応えるかのように、希螺は小さく呻くとゆっくり目を開けた。

「あ……れ?オレ……え?えぇっ?」

意外なほど早く意識は回復したらしく、状況を把握できないのか、判りやすいほどに狼狽えている。

その様子を見て、レフィが軽く吹き出す。

「あれ?あんたは……」

レフィを見つけ、不思議そうな顔をする。

「……わ、悪い。何でこんなトコにいるのか説明する必要があるよな。おい春日、頼む」

「は?」

今し方部屋に入ってきた少年ーー春日は、一瞬状況が理解できず、間の抜けた声を出す。

「状況説明だよ」

「何でオレが?
……まあいいや、え~とはじめまして、だな。オレは東春日、キミの名前は?」

眉をひそめた春日だが、小さく肩をすくめると希螺の方へと向きなおり、人なつっこい笑みを浮かべた。

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