CAPTORS
「柏木……希螺」
「希螺ね。えーと、色々話さなきゃいけないことがあるんだが、聞いてくれるか?」
笑みを浮かべたまま春日が訊ねかけると、希螺は少しの戸惑いを見せるものの、話を聞きたいのだろう、小さく頷いた。
「じゃあ、始めに。
……君の大切な人たちの命を救えなくて本当に申し訳ないと思ってる。すまない」
ベッドのそばにある椅子に腰掛ける前に、春日は深々と頭を下げた。
「え?」
突然のことに面食らう希螺。それでも春日は続けた。
「オレたちが、もう少し早く気づいていたら、助かった命があったかもしれない。もう少し力があったら君を傷つけなかったかもしれない……過ぎてしまった時間や、失ってしまったものは戻ることはないが、君に許しを乞いたいんだ」
そう言って、自己満足かもしれないけれど、と小さく付け加えた。
「……許すとか許さないとかいう話じゃないと思う」
ポツリと希螺が呟くと春日がゆっくりと顔をあげる。その黒瞳は、少なからず驚きの色を有していた。