CAPTORS
書類に書かれた文章を読み上げるように春日が言葉を紡いでいく。

「……そか……やっぱ、そうだよなぁ」

しょぼんと肩を落とす希螺。
希望があるわけではなかった。それでも聞かないわけにはいかなかった。もしかして……という思いがないと言えばそれは嘘だ。
けれど、紡がれたのは予想を覆さない変わりようのない現実の言葉だった。

「……キラ……」

「確認したかっただけだから、気にしないでくれな?」

心配そうに顔をのぞき込んでくるレフィに極力笑みを浮かべて笑って見せた。

しかしあまり効果はなかったようで、レフィの表情が晴れることはなかった。

うつむいた希螺の脳裏に、これからどうするか、ということが浮かんでくる。すると、考えることはそのことばかりになってしまう。

だから、レフィたちが何度も呼んでいることに気づくのが遅くなった。

「おーい、聞こえてるか~?」

「へ?」

春日の声かけに間の抜けた声がもれる。

思わず顔を上げると、目の前に春日の顔があり、口から無意識に小さな悲鳴が上がった。

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