CAPTORS
ボロボロになってシーツの上に落ちている花を見つめ、希螺は春日のほうに向き直る。

「体に負担がかかるのか?ムリさせてごめん」

「いや、謝るなよ。勝手に見せたのはこっちだ。気にするな」

自分の力でしっかりと座りなおした春日が少し慌てる。まさか謝られるとは思っていなかったのだ。

「えーと、オレの名前は言ったよな?力は……なんて説明していいか分からないけど……こういう事ができる」

手のひらを両方とも天井へと向け、先ほどの春日と同じように白い光を生み出す。

ポンっという音とともに光が鉄色のプレートに変化する。
そこには希螺の名前がはっきりと彫り込まれていた。

「へぇ……おもしろい力だな」

それを目にした春日が関心したように言葉を漏らす。レフィも同じ心境のようだ。

「そういうわけで、よろしく」

にっこりと笑みを浮かべて希螺はそういった。

「あ。少年が目を覚ましてる~」

その時、部屋に入ってきた者が、少しゆっくりしたテンポで言葉を紡いだ。
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