CAPTORS
「お前が以前通っていた学校はここからだとかなり距離があって、通学は難しい。だから、春日たちと同じ学校に編入しないか?」

「……なんで疑問系?オレに決めろって言うこと?」

首を傾げると、レイスから肯定の言葉が返ってくる。

少し考えるような素振りを見せてみるが、答えはすでに決まっていた。

「転校には慣れてるし、わざわざ遠いところに行きたいと言うほどあっちに未練があるわけでもないし……」

言いながら、ふとクラスメイトたちの顔が一瞬見え隠れするが、その中から自分の考えていた人物がいなくなっていることに改めて気づき、言葉に詰まってしまう。

「……全くないと言えば嘘だけど……転校に異存はありません」

「そうか、よかった」

安心したように、レイスがつぶやく。

……安心?

希螺が不思議そうに眉を寄せる。

「……なんで、たいちょーが安心するんだ?」

「いや、それは……」

何故か言い淀むレイス。

チラリと栄我に視線を送れば、既に視線は明後日の方。
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