CAPTORS
「……それはかまわないって思ってる」

慣れてるって言っただろ、というと、少し微妙そうな顔をしてレイスが何故かポンポンと頭を優しくたたいた。

「手続きは完了しているし、まあ幸い週末も挟むから、今日はとりあえずお前の部屋にでも案内するか。頼んだぞ、春日」

「……は?」

話を振られた本人が、間の抜けた声を出す。
口を挟んだものの、自分は関係ないとふんでいたようで、予想しなかったのだろう。

「別にかまわないだろう?俺はまだ仕事が残っていて忙しいからな」

それが当たり前と言わんばかりのレイスの表情をみて、春日は肩を落としながら溜息をついた。

春日が何かを言おうとすると同時に、レイスのもっている携帯電話の呼び出し音が鳴り始める。

それに対応したレイスの表情が心なしか厳しいものに変化する。

「本格的にヤバい。私たちは会議に戻るから後は頼んだぞ、春日」

その言葉を残し、レイスと栄我は足早に部屋を後にした。

残された二人はしばし呆然とすることしかできなかった。
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