CAPTORS
少し渋い顔をしながら春日が声をひそめる。

色々難しいところがあるのだろうなと希螺も納得し、わかったと頷く。

しばらく歩いていると、行く手がふさがれているのに気づく。

近づいてみると、清掃中の看板があった。
看板の向こう側では、広い廊下を掃除している清掃員らしき人たちがいた。

このままでは通れないのだが、春日はかまわず進んでいく。

「かす……」

「九龍、虎一、道をふさがれると通れないのだが……」

呼び止めようとした希螺より早く、春日が前方にいる清掃員に声をかける。

「カスガじゃねぇか。珍しいなぁ、医療フロアで会うなんてよ」

すると、声をかけられた清掃員が目深にかぶった帽子を押し上げながら掃除をする手を止めた。

よく見ると、2人の清掃員は希螺より幾分年上くらいの若い男だった。

なんと声をかけていいかわからずにいると、向こうが先に希螺に気付いた。

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