CAPTORS
ムッとして九龍をジト目で見ると、そりゃ悪かったとあっさりした調子で返され、それ以上文句を言うことができなかった。

「ま、俺達も年が近くてなおかつ下の奴が同じ仕事場で働いているのは嬉しいことだからな。仲良くしようぜ、キラ」

にっと笑いかけてきた九龍が右手を希螺へ伸ばした。

「おぅ、よろしくな」

その手をぎゅっと握った希螺も満面の笑みを返した。

「九龍があんなに人と早く打ち解けるのは珍しい」

二人のやりとりを見ていた虎一がポツリと呟く。

九龍と違い、あまり表情は変化していないが、彼がなにを考えているか春日には分かっていた。

「何かあったときは声をかけてやってくれ。この施設にきてまだ日が浅いから、たぶん迷子になることも度々だと思う」

返事は返ってこなかったが、これが虎一の承諾の態度だと知っていたためそれ以上言葉を重ねることはしない。

「キラ、そろそろ行くぞ」

初対面のクセになかなか話が途切れようとしない希螺に春日が呼びかけると、分かったという返事が返ってくる。
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