CAPTORS
2人に廊下を通してもらい、再び歩き始める。

「あいつらもここで働いてるのか?」

後ろを振り返りつつ希螺は春日へ訊ねかける。

「詳しいことはあまり知らないがな。孤児だった彼らの引き取り手がここの関係者らしいが……」

「仲良さそうに見えたけど?」

首を傾げる希螺を春日は軽く小突いた。

「仲がよければ何でも知っているわけじゃない。お前も無用な争いは避けれるよう、あまり自分が能力者だと言うことを公言するなよ」

春日の言葉を聞いて、希螺はそうかと納得する。

例え元種を倒せる力があっても、それはほかの普通の人間からみれば「人外」以外何者でもないのだ。

それは何時しか恐怖に変わり、恐怖は迫害に変わる。

人が人を排除しようとするとき、そこに慈悲などありはしない。

希螺は身を持ってそのことを知っていた。

「……オレは自分の力が大っ嫌いだから、できれば誰にも知られたくない……あいつ等いい奴だから尚更だ。力のこと知られて嫌われたくねぇし」

「なら気をつけろ」

「ああ」
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