CAPTORS
「今日は訓練ないのか?二人とも」

希螺が訊ねると、同時に二人はうなずいた。

「おまえが退院した日に訓練なんかやってられねぇよ」

からからとレフィが笑い、横では矢那がそうだよね~と微笑む。

「……サボリ?」

少し考え込んでから、控えめに希螺は聞いてみた。

「ちがうちがう。日にちをずらしてもらっただけだよ~」

笑顔を崩さぬままに、矢那が答える。

その言葉に、希螺はホッと胸をなで下ろす。

「そこまで心配することじゃねぇよ」

口元に笑みを浮かべたまま、レフィの細い手が希螺の背中を勢いよく叩いた。

「ところで、キラ君の部屋はどこ?」

矢那がフロアを見渡しながら首を傾げた。

「俺の隣」

「春日の隣なのか?」

何か不満が?と問い返され、慌てて首を振ってみせる。
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