CAPTORS
朝。
まだ慣れない部屋で目を覚ました希螺を待ち受けていたのは、無情な時の悪戯だった。
「やばい!初日から遅刻の危機かよ!」
昨日渡された制服に袖を通しカバンを手に取りながら、希螺は慌てて部屋を飛び出した。
なにもないシンプルな作りの廊下。エレベーターまでの道のりはわかる。
と思ったのだが……
ぴたりと希螺の足が止まる。
「やべ。わかんね」
きょろきょろと辺りを見渡す。
左右にのびた廊下。エレベーターは確か廊下の突き当たりにあったはずなのだが、どちらに行けばいいのかすでに分からなかったりする。
そういえば、と希螺は昨日の自分を思い出す。
昨日初めて自分の部屋に案内されたときも、買い物に行って帰るときでさえも自分一人ではなかったのだ。
しかも質の悪いことに、そのときの自分は、全く周りを見ていなかった気がする。
「……やべーなー……学校の場所すらしらねぇのに」
肩を落とそうとした希螺の瞳が、廊下の向こう側から歩いてくる人影を見つける。