CAPTORS
「あ」

無意識に口から声が漏れていた。

「あれ、お前……」

向こうも希螺に気付いたのか、目深にかぶっていた帽子のつばを上げながら、呆けた顔をした。

のぞいたのは琥珀色の瞳だった。

「九龍……だっけ?」

やや自信はなかったが、昨日の今日で忘れるには、印象が強すぎる瞳の色だった。

「……キラじゃねぇか。こんな朝早くにどこ行くんだ?」

心底意外そうに、九龍は首をひねる。

「どこもなにも学校だっつうの。そんでもって遅刻の危機。なあ、エレベーターどっちか教えてくれよ」

自分の状況を思い出した希螺が駆け足をしながら九龍に訊ねかける。

「……ああ。あの学校な。エレベーターはあっちにあるが、先にカスガを起こした方がいいんじゃないか?あいつまだたぶん寝てるはずだぜ」

希螺の言葉に微妙な納得の仕方をしてみせた九龍が親指で春日の部屋を指差した。

驚く希螺。

慌てて春日の部屋の扉の横にあるドアチャイムを繰り返し押してみる。

するとしばらくしてから扉が開かれた。

「マジで寝てた!」

「おはよう、キラ」

開かれた扉の前で愕然とする希螺の耳に場違いな程のんびりした朝の挨拶が聞こえる。

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