CAPTORS
立ち去りながら、遅刻しないようにな、と言い残す。

「あ!そうだよ!遅刻じゃないのか?」

今の状況を思い出し、慌てて春日の方を見る。

すると、春日は腕時計にちらりと目をやり……

「ま、何とかしましょうか……」

さらりと言ってのけ、廊下を歩き始める。

希螺もその後を追いかける。

「何とかなるのか?」

エレベーターを待ちながら、希螺が訊ねかけると春日がニッと笑ってみせる。

「さすがに歩いていくと遅刻だからな。見つかると……まあ、小言くらいはもらうかな?」

そして、上着のポケットから小さな金属を取り出す。

それは、鍵だった。

同時に、エレベーターが軽快な音を鳴らしフロアへの到着を知らせる。

「それは?」

乗り込みながら首を傾げる。

「お楽しみ」

笑みを浮かべたまま春日の指が行き先を指定するボタンを押す。

行き先は、地下一階。

「キラは乗り物酔いはしない方?」

唐突な質問にとっさに肯く。

「それはよかった」

笑みの消えない春日のその言葉が、希螺には何故か不吉なものに聞こえた。
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