CAPTORS

それから。

希螺は地獄を垣間見た。

結果から言えば、学校には何とか間に合った。

けれど、普通ならあれは遅刻だったと思う。

地下についた希螺が見たものは、一台のバイクだった。

春日は遅刻しそうなときはそのバイクを使って登校するのだといった。

そして、今日はそれに希螺も便乗したのだ。

バイクには乗ったことはなかったが、乗り物に対してはそれなりに免疫があると思っていた。

しかし、酔った。

いや、あれは乗り物酔いするとかしないとかいう問題ではない。

まずスピードがあり得なかった。

なんで事故につながらないんだと思うくらいものすごいスピードで、春日の運転するバイクは朝の街を疾走する。

受けたことのない風圧と体感スピードで、希螺の三半規管は麻痺しそうだった。

街の様子を確かめることもままならず、あっという間にたどり着いた学校もその正門は、しっかりと閉ざされていた。

そして、希螺は信じられないことを体験する。

バイクが、正門を飛び越えるように空を飛んだのだ。

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