CAPTORS
「忙しいのはホントだもんね。それに私にはもう大切な人いるし……」

ざわっ

にっこりと笑いながら紡がれた矢那の言葉に、突如どよめきが沸き起こった。

それは、波紋のように瞬く間に食堂全体に広がり、その場にいるほぼ全員の視線を獲得するに至った。

いった本人に自覚はないのか、いつも通りほわんとしている。

「矢那……」

こめかみを押さえながら、レフィが呻く。

「どうしたの?」

「……いや、いい」

首を傾げる矢那に説明を放棄したレフィは微かに首を横に振った。

矢那の「大切な人」。それが誰なのかレフィもよく知らない。

聞いたこともなかったし、気にすることもなかった。

だから少なからず、ショックを受けたのも事実だった。
それが矢那へ話しかけるのをあきらめたもう一つの要因だったりするのだが、それはあえて心の中に押しとどめておく。

「さてと、そろそろ昼休みも少なくなってきたね。キラ君たちもご飯しっかり食べた?」

矢那が席を立ちながら、希螺たちに訊ねかける。

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