CAPTORS
部屋に入った希螺が目にしたのは、完全に荒廃したそれだった。

かつては授業で行われる実験でもするような場所だったのだろう。希螺の記憶と一致するそれらしいものがあるから、そうと判断できるのであって、今はその面影すら消え去ろうとしていた。

「……ここで何かあったのか?」

近くにあった机に手を伸ばしながら希螺は訊ねかける。

机は希螺が触った瞬間、音も立てずに脆く崩れさる。

「ここは俺が一人になりたいときによくきていた場所なんだ」

ぽつりと春日が呟く。

学校の生活の中で、どうしても一人になりたいときがあった。

それは、自分が能力者ということがあったためだし、それ以上に多くの人の中にいることが辛いためでもあった。

自分が普通と違うと気づいてから、人との関わりに疎遠になってしまっていた。

それが再びできるようになったのは、CAPTORSに入ってからだ。

けれど、孤独に慣れてしまった自分を大勢の中にとけ込ませる術を持っていなくて、それでも努力はしていたつもりだった。
< 95 / 133 >

この作品をシェア

pagetop