CAPTORS
普通の生活の中にとけ込めるように努力をしてはみても、すぐに実行できる訳でもなく、初めのほうはストレスばかりが溜まっていった。

その気持ちをリセットするために、この場所へ訪れていたのだ。

誰もいない校舎の中は落ち着く事ができた。でも誰もいないということは、それを利用しようとする者も少なからず存在するということだった。

「ちょっと油断してたんだろうな……タチの悪い奴らからあっという間に囲まれて……どうでもいいことを色々言われて……どうでもいいことのはずなのに、あの時はストレスがピークだったから俺にも余裕がなくて、買わなくていいケンカを買ったもんだから……」

教室の中を歩いていた春日の足が止まる。

そこは、部屋の隅。
じっと見据える春日の瞳には自嘲めいたものがうかんでいた。

「口論が暴力に変わるのは早かった。俺に対して相手方は何人かいたからほぼ一方的だったけど」

殴られ蹴られしているうちに、春日が日常で隠しておきたいものを見られてしまったのだ。
< 96 / 133 >

この作品をシェア

pagetop