死神と言う名の天使。
――僕は生まれながらに病弱で病院から 出たことが一度もない


1日3回の検診時に看護師と顔を合わせる。
会話すらしたことのない僕…
容体確認のタメに言葉を交わしあうくらいならするが、僕は会話とはそういうものではない……と思う。自分の気持ちを話し合い盛り上がる…そんなものだろう……?
毎日美味しいかもわからない食事を食べ、意味のない検査をし過ごす日常……。


だって
「病弱」なんて嘘だ。
僕はいきなり苦しくなったりしない。
散歩だって人がいない夜にする。
その時僕が行きたい外からタマに人がくる。
必死にその人の名を呼ぶ家族らしき人……。
それをみていると、胸が痛む。僕には名前を読んでくれる人などいないから……
僕は自分の名前さえシラナイ
親は面会に来ない
でも、生きている…
だって僕がここにいるのだもの。

死んでしまおう。そう何度考えたことか……
塞がれた窓……
鍵の閉まったドア……

僕は生きながらにして選ぶことを許されない。
『生か死か』
『美味しいか不味いか』
『暑いか寒いか』
何も選べない。

……ならば、どうして僕は生まれてしまったのだろう。

そんな僕に初めての選択肢が現れた。


それは突然

開くはずのない……開いたとしても入ってこれるはずのない窓から侵入してきた男が下した。
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