フェンス
ガチャ―…
ドアを開けるとそこには背の高いスラッとした後ろ姿に白衣をまとった男の人が立っていた。
男の人は吸いかけのタバコを灰皿に押し付け火を消すとゆっくり振り向いた。
『親父………?』
俺はずっと親父のことを恨んでいたはずだった。
親父のことなんてもうどうでもいいと自分自身に言い聞かせてきたはずだった。
なのに…親父の顔を見た途端大粒の涙が次から次へと溢れ出た。
親父にあったら文句の一つでも言ってやろう。
一発でいいから殴ってやろう。
そう思っていたはずなのに…
俺の口から出た言葉は…
『親父…生きてて良かった……』