フェンス

『母さん、準備出来たよ。』

俺は玄関で靴を履きながらそう言った。

『うん。箱はちゃんと持った?』

母さんがまるで小学生を学校に送り出すように問いかける。

『フッ…ははっ、母さん、学校行くんじゃねーんだから。』

『そっか。そうよね~ごめん、ごめん。』

少し笑みがこぼれ、懐かしい感じがした。

本当の母親じゃないと言われれても、やはり俺からすれば母さんは母さんだった。

ガチャ…

家の鍵を閉め、駐輪場に行き、バイクにまたがった。

『どういけばいい?』

『そうね…普通に歩いたり、バイクに乗ってるぶんには、怪しまれないと思うから近くまではそれでいこう。道はわかる?』

『あぁ…わかるよ。』

『ホワイトフェンスから1㎞ぐらいの所からセキュリティが厳しくなるから、気をつけて。』

『1㎞ってどこらへん?』

『そうね…ホワイトフェンスの近くに古い神社があったでしょう?そこぐらいからセキュリティが厳しくなるわ。』

『わかった。とりあえず神社までいくよ。』

そう言うとバイクのスロットルを捻り、一気に走り出した。



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