なんでも屋 神…第二幕
取り敢えず一度、その日向と会う機会を作ってくれと奏に伝え、見送りを背に受けてVIPルームを後にした。



…まだ日向が犯人と決まった訳では無い。残り二人の共同出資者かもしれないし、全く違う奴という可能性も存分にある。



白い鉄の扉を開け放つと、鼓膜の奥を揺さぶる低音と共に、身体全体を包む狂った熱が出迎えてくれた。



もう少し見ていきたいと言う一葉の申し入れを受け、カウンターに凭れ掛かってステージを眺めるも、俺の頭の中は依頼の事で一杯一杯だった。



瞬間静まり返るフロア内…どうやらDJチェンジの為に訪れた静寂らしい。



自分から見ていきたいって言ったくせに、一葉は何処か上の空な様子だった…。



「一葉、聞こえるか?」



意識を取り戻したかのように、耳元で話しかけた俺の言葉に一葉は振り返ったが、苦笑いが隠し切れてない。
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