なんでも屋 神…第二幕
「どうぞお乗り下さい。」



その素振りも卒が無いが、お前は何時から一流ホテルのドアマンに成ったんだよ。



そんな似付かわしくないノリの言葉遣いにも苛立ちながら、仕方無く後部座席に身体を滑り込ませた。



タンレザーの香りが鼻を愛撫する車内。兄ぃは右側の座席に身体を移し、素早く身を翻したノリから、フィルター部迄白いタバコの穂先に火を付けて貰っている。



「電話でも中々の役者振りだっただろ?」



肩を小刻みに震わせるノリに、運転席越しに蹴りを入れ、俺の憤慨と警戒心を乗せて車は走り出した。



エレベーターで一足遅れた、マコの隣に佇む一葉の不安そうな表情を背景にしながら…。
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