なんでも屋 神…第二幕
黙々と進んでいく赤城の先に、個室の入り口で立ち番している兄ぃの子飼いが二人。



どちらもあの工場内で見た事は有るが、あの時の残忍な冷獣の眼孔と面持ちは押し殺し、努めて紳士的な振る舞い。



「親父っさん、黒沢です。神を連れてきました。入ります。」



右側に立っていた子飼いが、室内から漏れてくる暖かい光を受け止めた障子戸を引き、俺と兄ぃを中へ通す。



俄に緊張が走る身体…どうやらもう一度胆を括らなければならないらしい。



これから再会する相手は、血気盛んな虎達を侍る(はべる)老虎だ。



「親父っさん。お待たせしてしまってすいません。」
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