なんでも屋 神…第二幕
いや、神堂龍造だから龍か…。



古来より竜虎と並び称されてきた二匹…その集合体が神堂龍造と言っても、過大評価だと俺は思わない。



「おう、気にするな。儂も今着いた所だ。」



低いが良く響く野太い声…そのライムグリーンでブリオーニのスーツは、龍の鱗のように煌びやか。




静かだが穏和では無く、恫喝するような瞳は虎の眼孔。身辺に付けた金無垢の腕時計、ネックレス、指輪は、どちらの物とも言えないが、強大な力を匂わせる牙。



部屋に沈殿する黒い空気に気圧されながらも、そんな事は微塵も感じ取らせないポーカーフェイスで通す。



…この辺は、お袋の遺伝子を受け継いでいる事に感謝する。



二尺程の小上がりで靴を脱ぎ、十畳の和室に上がっていく。



神堂龍造の脇には、妖艶な和服美人が佇んでいる…多分、四十代後半ぐらいか。
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