なんでも屋 神…第二幕
目の前に広がるガラステーブル。その上に置かれたブランデーグラスの中では、カットされた氷が琥珀色の海で泳いでいる。



奏に出されたヴィンテージのジャック・ダニエルには、未だ手を付けては居ない。



此処は奏のクラブ[four-rose]のVIPルーム。



昔から貸しを作るのは嫌いではなかったが、借りを作るのは御免だった。



その相手がヤクザ…神堂とも成れば一入(ひとしお)。



「散々ヒロが暴れてくれたらしくてな、それで早く帰れた…お前に感謝してるよ。」



傾けたブランデーグラスを携え、奏が苦笑いを放つ。



先程見せて貰った脇腹には、出来て間もない青痣が斑点を作っていた。



少ない会話を交わしてから、俺はこのクラブに足を運び、奏と再会を果たした。



と言っても、数日前に同じく此処で会ったばかりだが。
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