なんでも屋 神…第二幕
「相当いびられたみたいだな。で、連絡はしてくれたのか?」



そんな素振りも見せずにおどけて見せた奏は、飲み干したグラスにジャック・ダニエルを注ぎ込み、仄かな甘味を含んだ液体に酔いしれている。



「お前からの電話を終えた後に電話しておいた。あの人はビジネスマンだから、約束の九時には来るだろう。」



この広いVIPルームは俺と奏の二人きり、その空気はとても閑散としているが、扉の向こうのフロア程では無い。



奏は厚生労働省麻薬取締部と、地元の警察署から数日間の営業を見合わせるように圧力を掛けられて帰された。



このクラブ[four-rose]全体を見渡してみても、今は俺と奏の二人しか存在しない。



奏にとっては、自棄酒にも近いだろう。
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