なんでも屋 神…第二幕
「お待たせしました。此方が先程電話で言っていた、奏君のお友達かな?」



…成る程、確かにビジネスマンだ。



時計の針は、たった今短い針が数字の九を指した所。少なくとも、不躾な様は見て取れない。



「日向さん、お呼び立てして申し訳有りません。此奴がさっき話した奴です。」



細身な黒い革のパンツに、薄く黄色がかった麻のシャツ。そのシャツには純白の絹糸で蔦が刺繍されていて、嫌みな程に清潔さを押し出してくる。



「どうも初めまして。」


俺の差し出した右手に華奢な右手を重ね、俺達はがっちりと握手を交わした。



シャツを通して、肋が浮き出ていそうな程身体の線が細い。
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