なんでも屋 神…第二幕
握手を交わすと同時に目が合った…細長い目尻を下げ、柔和な視線を送ってくるが、その瞳の奥には、爬虫類を彷彿させるような薄気味悪さが漂う。



突然俺に対する興味が削がれたように、日向は奏の方に向き直り、抑揚無く死刑宣告にも似た言葉を発した。



「昨夜は大変でしたね奏君。悪いが、もう君にはクラブを任せられない。経営から退いて貰いますよ。」



衝撃が走ったのは奏だけでは無いが、俺の受けた衝撃など、奏に比べれば些細なもの。



その証拠に、奏が持っていたグラスは床で砕け散った。



「今日私が来たのは、其れを伝える為だ。昨夜のような騒動を引き起こされたら困るんだよ。正直、私は君の力量を見誤っていたようだ。」



確かに、何処までもビジネスを優先させる人物らしいな…断定的に下された決断は、その強い口調から察して覆る事は無いだろう。
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