なんでも屋 神…第二幕
末席のノリを先頭として、子飼い達全員が席を立つ中で、萩だけは我関せずと言った面持ちで突っ立っている。



「萩、お前もだ。俺は二人きりでと言ったはずだろ。」



しかしと言い掛けた所で、身体を前に出した萩に、神堂が左手だけで制した。



萩は渋々それに従い、訝りながら部屋を後にした。



「こんな所で儂を殺っても、神に得は無いじゃろうにの。用件を言ってみろ。」



今まで好好爺を演じていた神堂が、その研ぎ澄まされた牙を剥き出しにした瞬間だった。



全身の毛穴という毛穴から、一気に汗が吹き出るみたいだ。



虎のオーラを纏い、大鷹のように鋭き瞳の先には、たじろいだ俺が映っていたが、此処で引く訳にはいかない。
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