なんでも屋 神…第二幕
「…さぁ?ただ、ヤクザが必要悪だとは認めますが、そうでなければ良いと思うだけです。」



神堂に背を向けたまま、次に発せられる言葉に耳を澄ますが、胸壁を打つ心臓の音が鼓膜に響く…。



「儂等は必要悪か…。お前の父親はヤクザでは無い。そして、未だ生きている。話しは此処までだ。神、明日は頼むぞ。それと、夜恵に儂が話したとバレた時もな。」



五月蠅い程胸壁をノックしていた音は息を潜め、自然と肩から力が抜けて行く。



…親父は生きている。



「分かりました。」



そう神堂に一言だけ返事を残して、俺は部屋を後にした。



思えば、これが先々親父との再会の兆しだったという事を、俺はこの時知る由も無かった…。
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