なんでも屋 神…第二幕
和室に入ろうとした時、背中で俺の気配を感じ取ったのか、助けは要らないと手であしらわれた。



どうする…此処で手間取ってもいられないが、万が一ノリが倒された時は、俺が追い詰められる状況に陥る…。



脳内で飛び交う自問自答…現実世界では数秒間程のものだったろうが、俺の心境としては数時間にも感じられた。



ノリが真正面に居る為、相手が被っていて撃てない。



ノリの肩越しから僅かばかり撃てるスペースは有るが、この緊迫した状況では絶対と言う保証は出来ない。



苦渋の決断で一抹の不安は残るが、それを覆うような全幅の信頼を置いて、空気が凍っている和室を後にした。



ダイニングにも人の気配は無く、残りは階段脇の廊下の最奥。



右に曲がった先に有るであろう一室のみ。頼みの綱は、それしか残されていない。
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