なんでも屋 神…第二幕
慎重に歩みを進めていた廊下を、右に曲がろうとした刹那、鼻の先寸前を鋭利なアーミーナイフが掠めた。



咄嗟に後方へ飛び、トリガーに添えた人差し指に力を込め、胸の前にベレッタを構え様子を伺う。



角から現れた男は、奇襲を仕掛けてきた時のリーダー格。



存分に盛り上がる筋肉、隆起する胸板が、張り付くような黒いTシャツから覗く。



唯一の救いと言えば、左腕に巻かれた包帯が、傷が関知していない事を物語っていた事。



尤も、それは俺も同じだが…。



銃と言う飛び道具に対し、鋭利とは言っても銃よりは攻撃範囲が小さいナイフ。



だが、実践では以外とお互いの勝敗に差は無い。



結果論で言えば、最終的には肉体差や精神論に行き着く。



結局は胆を座らせ、相手に対して微塵の情けも掛けないと言う堅い意志が必要と成る。
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