なんでも屋 神…第二幕
突進してくる勢いが削がれ、一欠片の安心が心に生まれた次の瞬間…男は再び襲いかかってきた。



騙された…包帯を巻いていたのはブラフ。撃たれた方とは逆の腕で、首を鷲掴みされる。



グローブのような大きな手で、的確に両筋の頸動脈を絞められる。



撃たれたのに、呻き声一つ上げない男に驚異すら感じた。



肩口のTしゃつは破け、傷口はケロイド状に銃創が裂けているのに、この男は血が流れる事に一片の恐怖も無いのか…。



形相は牙を剥き出しにした正に獣…闇に蠢く中で生きてきたタフネスさが、俺に経験値不足を痛感させる。



絞められた頸動脈が、全身に機能停止の警告を促す中、霞む瞳に薄れ行く意識…トリガーに掛けた指先も反応を示さない。
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