なんでも屋 神…第二幕
目の前が白んでいく…。



これで見える風景が砂浜や花畑なら幻想的だが、白む先に待つは久遠の闇…。



両瞼が漆黒のスクリーンと成り、上から徐々に幕が落ちていき、鼓膜に届く音も遠くなっていく。



スクリーンが落ちると、二人の女神が浮かび上がった…。



聖母の笑みを携える真美と、泣きながら手を差し伸べる一葉…。



どちらも俺にとっては掛け替えのない大切な人で、選べる訳は無い。



選べる訳は無いのだが…。



鼻声涙声で泣きじゃくり、頬を朱に染めた一葉の泣き顔を見るのが辛い。



泣かないでくれよ…一葉…。



差し出した一葉の手に触れた瞬間、波紋を広げて消え行く真美の笑顔。



これで良かったのだろうか…真美は分かってくれるだろうか…。
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