なんでも屋 神…第二幕
遠のく意識と鼓膜の感覚…その狭間で警鐘を鳴らすように、独特の風を裂く音が、朧気な輪郭を形取った脳を目覚めさせた。



突然首元から離された大きな手…これを好機と判断して、肺奥まで深く酸素を吸い込むと、霞む瞳に雫が落ちたかのように潤む。



だが、未だ判断と反応が出来る程回復は出来ていない。



とっさに後ろへと下がり、動く人差し指で瞼を擦る。



…さっきまで俺の首を絞め付けていた男は、包帯を巻いていた腕から血を流し、恨めしそうに此方を睨んでいた。



「らしくないな、神。」




背中に何かが当たった感触を感じ取り振り返ると、グロッグの銃口から硝煙の臭いを放つノリが立っていた。
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