なんでも屋 神…第二幕
室内に居る六人それぞれに妙な点は無い。



いや、強いて言えば、金城が手にしている携帯に違和感を感じる。



そして鼻腔を愛撫する硝煙の臭いも、そこから空気に乗って伝わってくる気がする。



やはり、金城か。



「辰徳、大丈夫か?」



視線の先は金城等を見据えたまま、赤城がノリに力強い声を放つ。



立ち上がりながらノリを見ると、右足を押さえている両手の隙間からは血が滲み出ている。



金城の舎弟二人は、俺と赤城から三つの銃口を向けられ、顔面蒼白で立ち尽くしていた。



尤も、それは金城も同じだが…。



違う点は動揺と懸念が混濁した表情で、上手く酸素を吸えず気息奄々としている様。



…恐らく、金城は銃を撃った事すら無いのかもしれない。
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