なんでも屋 神…第二幕
ノリを谷口の爺の所に運びこむと、つい数時間前に目覚めたばかりだと言う兄ぃに、事の顛末を話してそのまま家に帰った。



久しぶりに運転した車…ダイヤモンドを散りばめたような星空は、窓ガラスに張り付けた偏光フィルターを通して、アレキサンドライトのような妖しい薄紫色に見える。



反省点を上げればきりは無いが、二つの依頼を同時に片付けられた達成感は、疲れ切った俺の身体を包み込む。



その何とも言えない心地良さが、実は何物にも代えられない報償なんだ。



車を家の前に停め、着の身着のままベットへと潜り込む。



満身創痍の心と身体は、俺を深い眠りの泉へと沈めていった…。



今は疲れを十分に癒すが良いと、天が告げている気がする。



俺にとっての安らぎなど、ほんの一瞬しか与えられないのだ…。
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