なんでも屋 神…第二幕
「独り言を言ったら喉が渇いたわい…諄いようじゃが約束じゃぞ神君。力になれる事が有ったら、遠慮無く儂に言ってくれ。」



もう一度確かめるように俺の顔を下から見上げる大さんに、無言で頷き力強い握手を交わす。



大さんも満足そうな顔で頷き、枯れ葉みたく春風に揺られながら、覚束無い足取りで公衆トイレへと向かって行った。



昼間は周りの親子連れなどの視線が有る為、ちゃんとした水飲み場で水は飲めない。



だから夜以外は成る可く公衆トイレで喉の渇きを潤すのだ。付け加えるなら、トイレの使用も出来る限り控える。



そうする事で人々の視線を逃れ、役所の人間との揉め事を避けている。退去勧告を無視し続けている大さん達に対する、役所側が取り決めた苦肉の策と言った所か…。
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